地域における子供のボール遊び

 川崎市子どもの権利に関する条例には、第3節、地域における子どもの権利の保障、第26条、子どもの育ちの場等としての地域において、地域は、子どもの育ちの場であり、家庭、育ち・学ぶ施設、文化、スポーツ施設等と一体となってその人間関係を豊かなものとする場であることを考慮し、市は、地域において子どもの権利の保障が図られるよう子どもの活動が安全のもとで行うことができる子育て及び教育環境の向上を目指したまちづくりに努めるものとする、市は、地域において、子ども、その親等、施設関係者その他住民がそれぞれ主体となって、地域における子育て及び教育環境に係る協議その他の活動を行う組織の整備並びにその活動に対し支援に努めるものとするとあります。この条例に則って市は、地域における子どもたちの権利が保障されるように積極的にかかわっていく必要があります。

 しかし、地域の皆様から、バスケットゴールがないので東京や横浜市までわざわざ出かけなければならない、また、キャッチボールのできる場所を提供してほしいとの声が多く寄せられている状況です。

 公園近隣の皆様からしてみれば、騒音は確かに大きな問題です。公園でキャッチボールができない、バスケットゴールが設置できないのは、地域の皆様からの了承が得られないことが一番の理由であるとも伺っております。このような地域の皆様の多種多様なニーズに対応できず、市は公園でのルールづくりのガイドラインを作成し、公園は地域で自由に使ってください、そのかわりルールも地域でつくってくださいと、公園のあり方を地域に委ねている状況です。その結果、川崎区においてキャッチボールができる公園が2カ所、川崎市全域で5カ所、バスケットゴールに関しては市内全域で実質6カ所、川崎区、幸区、中原区においては一つもありません。子どもを安心して育てることのできるふるさとづくりを目指している川崎市のキャッチボールやバスケットボールができる公園の数としては余りにも少ないと考えます。公園でキャッチボールやバスケットボールができるように整備を進める必要があります。

 しかしながら、子どもという時間にも限りがあります。そこで、川崎区内には、ふれあいネットで予約のできる球場が、桜川球場、小田球場、大師球場、池上新田球場、富士見球場、中瀬球場の6球場があります。公園を自由に遊ぶ場として、またキャッチボールができる場として使用できないのであれば、既存の施設を開放する等対策を講じるように求め、

 これを受けて、大師球場におきまして、キャッチボール等ができる場所を提供することを目的として、令和2年3月、比較的利用率が低い平日の午後1時から午後4時までの時間帯で、近隣地域の小学生以下の子どもたちとその保護者を対象として、無料開放を試行実施されました。実施状況といたしましては、初日の3月4日は雨天により中止、2日目の25日は小学生以下の子ども62名を含めて79名の方々にサッカーやキャッチボールなどを楽しんでいただきました。

 さらには、大師公園をはじめ、川崎区内にある桜川公園、小田公園、池上新田公園の野球場を、民間事業者へ管理を委託し、民間事業者の持つノウハウ、創意工夫により柔軟できめ細かいサービス、また、地域住民からの無料開放を求める要望、さらには利用率が低い平日の時間帯でのボール遊び、これを実現するための取組が進められています。

 多種多様な御要望の中で、最大公約数の意見を反映していかなければならないこともわかります。しかし、今後も少子高齢化が進み、子どもたちの側の声はさらに小さくなっていきます。地域が子どもにとってよりよい場となるため、新しい施設づくりも含めて、取組んで参ります。