令和7年6月23日の川崎市議会第2回定例会で、単身高齢者等が緊急搬送された際などに、本人に代わって必要な情報を確認できる「情報登録制度」の導入について質問しました。
一人暮らしの高齢者や認知症の方が増える中、本人の判断能力が十分でなかったり、意思表示が難しかったりする場合、家族等への連絡が取れず、医療や介護の現場で対応に苦慮するケースがあります。
市からも、普段の生活状況や家族・友人関係が分からない方や、医療や介護の必要性を理解することが難しい方が増えており、入院先が見つからない、退院後の行き先が決まらない、退院してもすぐに再入院になってしまうといった課題が医療現場で生じているとの認識が示されました。
救急・医療現場で必要となる情報
救急搬送や医療の現場で、どのような情報が必要になるのかについても確認しました。
消防局からは、傷病者の氏名、生年月日、かかりつけ医療機関、内服薬などの情報が、円滑な救急活動を行う上で必要との答弁がありました。
また、市立病院からは、身元や緊急連絡先、既往歴、かかりつけ医などの受診歴、使用中の薬剤など、できる限り多くの情報を把握することが、より安全で適切な治療につながるとの説明がありました。
こうしたことから、本人が意思表示できない状況になった場合にも、緊急連絡先や医療に関する情報などを迅速に確認できる仕組みが重要です。
緊急時に必要な情報をあらかじめ登録する仕組みを提案
そこで、本人が元気なうちに必要な情報を登録し、緊急時などに活用できる仕組みについて取り上げました。
横須賀市をはじめとする他都市では、緊急連絡先やかかりつけ医、遺言の有無、エンディングノートの作成・保管状況などの情報を事前に登録し、有事の際に病院や消防、警察等からの照会に対応する取組が行われています。
横須賀市では、同居家族のいない高齢者が緊急搬送された際、登録されていた親族の連絡先を伝えることで入院につながった事例や、亡くなった方の親族が把握していなかった友人の連絡先が登録情報から判明し、葬儀の連絡につながった事例なども報告されています。
こうした取組を踏まえ、本人が意思表示できない状況になった場合にも、本人の意思と尊厳を守り、必要な医療や支援につなげるため、川崎市でも情報登録制度を導入すべきと提案しました。
川崎市「支援の充実に資する」
市からは、情報の事前登録制度について、**「支援の充実に資する」**との認識が示されました。
一方で、個人情報の取得・保管や連絡体制の構築などに課題があるとして、他都市の取組を調査研究するとともに、市社会福祉協議会と協議を進めていくとの答弁がありました。
その後、「終活情報登録事業」が予算化
その後、川崎市は令和8年度予算に、「終活情報登録事業」7,598千円を計上しました。終活支援全体では40,138千円が計上されています。
新たな「終活情報登録事業」では、緊急連絡先や医療、葬儀、埋葬などの情報をあらかじめ登録しておき、緊急時などに本人が自ら意思表示できない場合、親族や本人が指定した方等からの照会に応じて、必要な情報を伝える仕組みが整備されます。
令和8年秋頃の開始が予定されています。
議会で情報登録制度の導入を求め、その後、具体的な事業として予算化されることとなりました。
今後も取り組みます
一人暮らしの高齢者が増える中、「もしもの時」に誰へ連絡すればよいのか、どのような医療を受けているのか、本人がどのような希望を持っているのかを確認できる仕組みは、ますます重要になります。
情報を登録すること自体が目的ではありません。
本人が意思表示できなくなった時にも、その人の意思や尊厳をできる限り守り、必要な医療や支援につなげることが重要です。
事業開始後も、実際に必要な場面で機能する制度となっているかを確認しながら、単身高齢者をはじめ、市民が安心して暮らし続けられる終活支援の充実に取り組んでいきます。