水素を活用した川崎臨海部の産業競争力強化について議会で質問

川崎臨海部は、石油・化学、鉄鋼、エネルギーなど、日本の産業や首都圏の暮らしを支える企業が集積する重要な産業拠点です。

一方、世界的に脱炭素化が進む中、川崎臨海部の産業競争力を将来にわたって維持・強化していくためには、エネルギーや原料を脱炭素化していくことが重要です。

私はこれまで、水素の社会実装や利用拡大について議会で取り上げてきました。

2021年 水素の「利用先」を増やす取組について質問

2021年3月8日の予算審査特別委員会では、「川崎水素戦略」に基づく取組について質問しました。

当時、水素社会の実現に向けた課題の一つとして、水素を実際に利用する機器や用途を増やしていくことがありました。

そこで、水素の利用拡大に向けた取組の一つとして、JR東日本が開発を進めていた水素をエネルギー源とする燃料電池ハイブリッド車両「HYBARI」について、実証走行に至る経緯や今後の予定を確認しました。

市からは、JR東日本、川崎市、横浜市、神奈川県が連携して実証を進め、トヨタ自動車が燃料電池技術、日立製作所がハイブリッド駆動システムの研究開発を担っていることなどが説明されました。

走行ルートについても、JR南武線の武蔵中原駅から南武支線の浜川崎駅間、鶴見線の扇町駅から鶴見駅間が予定されているとの答弁がありました。

その後、HYBARIの実証走行が開始され、水素を実際に利用する社会実装に向けた取組が進められました。川崎市の資料でも、令和3年度に燃料電池電車の実証走行を開始したことが確認できます。川崎市公式サイト

水素戦略から「カーボンニュートラルコンビナート」へ

その後、川崎市の水素政策は大きく発展しました。

2015年に策定された「川崎水素戦略」は、2022年3月に策定された「川崎カーボンニュートラルコンビナート構想」に統合され、水素は構想を実現するための重要な戦略の一つとして位置付けられています。川崎市公式サイト

川崎臨海部には、発電所や製油所、化学工場などが集積するとともに、水素パイプラインなど、水素を利用するための既存の産業インフラがあります。

こうした川崎臨海部の強みを生かし、水素を「実証する段階」から、大規模に「つくる・運ぶ・使う」段階へ進める取組が進んでいます。川崎市公式サイト

2026年 水素を産業競争力につなげる取組について質問

2026年3月6日の予算審査特別委員会では、改めて水素を取り上げ、今度は川崎臨海部の産業競争力を高めるための水素戦略という観点から質問しました。

鉄鋼や化学などの産業では、製造過程で大量の熱エネルギーを必要とするなど、電化だけでは脱炭素化が難しい分野があります。

こうした産業が集積する川崎臨海部において、なぜ水素をカーボンニュートラルコンビナート構想の中核となる戦略の一つに位置付けているのか、市の考えを確認しました。

市からは、水素はエネルギーとしてだけではなく、産業の原料としても利用できることから川崎臨海部との親和性が高く、水素を軸としたカーボンニュートラルなエネルギー供給拠点の形成を構想の柱の一つとしているとの答弁がありました。

また、市の役割として、官民協議会を通じた企業間連携、近隣自治体や国との連携、カーボンニュートラル関連施設の誘致、事業者への調整・支援などを進めていくとの考えが示されました。

扇島に国内最大級の水素供給拠点へ

川崎臨海部では、水素を大規模に受け入れ、供給するためのプロジェクトも進んでいます。

扇島地区では、液化水素サプライチェーンの商用化実証に向けた液化水素基地の建設が進められています。

川崎市も、こうした取組によって川崎臨海部が水素を一層利活用しやすい地域となることを見込み、水素を利用する産業の集積につなげていく考えを示しています。

川崎市の公式資料でも、2025年11月に扇島で液化水素基地の起工式が行われたことが公表されています。川崎市公式サイト

水素関連産業の集積を提案

2026年の質疑では、水素を単にエネルギーとして利用するだけではなく、水素関連の技術や企業そのものを川崎に集積させ、新しい産業拠点を形成していくことについても質問しました。

川崎市では、キングスカイフロントにおける創薬・再生医療、南渡田地区におけるマテリアル分野など、研究開発やイノベーションを核とした産業拠点形成を進めています。

水素についても、燃料電池、水素製造装置、輸送・貯蔵設備など幅広い関連産業が存在します。

そこで、水素エネルギー施設を含め、関連技術の集積や企業誘致を進め、川崎臨海部を水素関連産業が集積するエリアとして発展させていくことを求めました。

市からは、立地企業のエネルギーや原料の水素転換を促すとともに、新たなプロジェクトを呼び込み、サプライチェーンの拡充につなげ、水素を利活用する産業が集積するエリアとなるよう取り組んでいくとの答弁がありました。

脱炭素を「環境政策」から「成長戦略」へ

水素やカーボンニュートラルへの取組は、CO2を削減するためだけのものではありません。

川崎臨海部の企業が将来にわたって事業活動を続け、国際競争力を維持することは、雇用や税収、エネルギーの安定供給など、市民生活にも関わります。

2026年の質疑では、こうした最先端の取組が市民の暮らしにどのようにつながるのか、分かりやすく発信することも求めました。

市からは、臨海部の持続的な経済成長から生まれる税収を市民サービスとして還元するとともに、経済活動と気候変動への対応を両立させる産業地域の形成について、市民に分かりやすく発信していくとの答弁がありました。

現在の川崎市の総合計画でも、臨海部のカーボンニュートラル化と産業競争力の強化を一体的に進め、水素社会の実現や液化水素サプライチェーンの取組を推進する方針が位置付けられています。川崎市公式サイト

今後も取り組みます

2021年には、水素を実際に「使う」ためのHYBARIなどの実証について質問しました。

それから5年が経過し、川崎の水素政策は、大規模な水素サプライチェーンの構築や産業利用、水素関連産業の集積など、次の段階へ進みつつあります。

川崎臨海部が持つ産業集積や既存インフラという強みを生かしながら、脱炭素化と産業競争力の強化を両立させることが重要です。

今後も、水素をはじめとする次世代エネルギーを川崎の新たな産業や雇用、持続的な経済成長につなげていく取組について、議会で確認・提案していきます。

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