学校に行きたくても行くことができない。
教室という環境に大きな負担を感じる。
不登校の背景や子どもたちが抱える困難は、一人ひとり異なります。
大切なのは、「学校に登校する」という結果だけを目標とするのではなく、どこにいても、その子に合った方法で学び続けることのできる環境を整えることです。
私は、GIGAスクール構想による1人1台端末の整備を、不登校児童生徒の学びの保障にも積極的に活用すべきと考え、2020年から議会でオンライン学習の充実を求めてきました。
2020年 不登校児童生徒の「学びの保障」について質問
2020年12月14日の川崎市議会第6回定例会で、不登校児童生徒の教育機会と居場所の確保について質問しました。
当時、川崎市の不登校児童生徒は、小中学校合わせて2,089人。
学校内の学習室については、小学校114校のうち89校、中学校52校のうち43校に設置され、別室での学習や相談などが行われていました。
学校外では、市内6か所の「ゆうゆう広場」や民間のフリースクールなどが学びや居場所を提供していました。
市からも、不登校児童生徒への支援については、
「学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」
との考えが示されました。
自宅でも学べるICTの可能性
当時、川崎市では、ゆうゆう広場や不登校家庭訪問相談に登録する小学4年生から中学3年生までの希望者を中心に、インターネットを利用した学習システムを提供していました。
毎年80~120人程度が利用登録し、自宅などで自分の習熟度に合わせた学習に取り組んでいました。
一方、これから始まるGIGAスクール構想によって、児童生徒一人ひとりが端末を持つことになります。
そこで私は、これを不登校の子どもたちの学びにも活用すべきだと提案しました。
「オンライン専門の指導員による授業」を提案
2020年の質疑では、他都市で始まっていたオンライン授業の事例も紹介しました。
そして、GIGA端末を活用し、不登校児童生徒を対象としたオンライン専門の指導員によるオンライン授業など、新たな学習支援を検討するよう求めました。
また、不登校が長期間にわたった場合、在籍している学年と実際の理解度が一致しているとは限りません。
中学2年生だから中学1年生の内容から学び直せばよいというものではなく、小学校段階の内容まで戻って学ぶ必要がある子どももいます。
そのため、学年ではなく、一人ひとりの理解度に応じて学ぶことのできる学習プログラムが必要だと指摘しました。
これに対し教育委員会からは、GIGAスクール構想によってウェブ会議アプリや協働学習アプリなどを活用することで、
「様々な要因によって登校できない児童生徒と学校がつながる可能性が広がる」
との答弁がありました。
2022年度 アカウントを120から5,000へ拡大
その後、取組は大きく拡充されました。
2022年3月7日の予算審査特別委員会で確認したところ、川崎市は、不登校など長期欠席傾向にある児童生徒がGIGA端末で映像教材などを利用できるオンライン学習システムについて、学校用アカウントを120から5,000へ増やす方針を示しました。
それまで一部の児童生徒を中心に提供されていたオンライン学習を、市内すべての長期欠席傾向にある児童生徒が利用できる環境へ拡充する取組です。
私は、この際にも「アカウントを配ればよい」というだけではなく、それぞれの子どもの理解度に応じて学習できることが重要だと改めて質問しました。
市からは、学習支援アプリでは、児童生徒の理解度に応じて学年や学習内容を選択でき、単元テストなどで理解度を確認しながら、必要な内容を繰り返し学習することができるとの説明がありました。
一人ひとりの特性に応じた支援を
同じ「不登校」であっても、その背景は一人ひとり異なります。
学校での集団生活に心理的な負担を感じる子どももいれば、学習上のつまずきや人間関係など、複数の要因を抱えている場合もあります。
そこで、家庭で学ぶことを選択する子どもや保護者が、教育や学習について身近に相談できる体制についても質問しました。
市からは、学校では担任や支援教育コーディネーター等が窓口となり、教育委員会では総合教育センター等の相談室で、教育や心理の専門家による相談・支援を行っているとの答弁がありました。
また、必要に応じてWISC等の発達検査を行い、その結果を踏まえて一人ひとりの教育的ニーズを把握し、必要な学習支援について相談していることも確認しました。
現在もICTを活用した不登校支援を推進
現在、川崎市では、自宅など教室以外の場所でもGIGA端末を使って教員とやり取りしたり、学習アプリを利用したりすることができます。
不登校の子ども向けには、学習動画やドリルなどを備えたオンライン学習システムを導入し、市立学校を通じてアカウントを配布しています。川崎市公式サイト
また、市が策定した「不登校対策の充実に向けた指針」でも、**「ICTを活用した学習支援等の充実」**が具体的な取組として位置付けられています。
GIGA端末をさらに活用し、不登校児童生徒がどこにいても社会とつながり、必要な学習や相談の機会を確保することを目指しています。川崎市公式サイト
さらに2026年度からは、「ゆうゆう広場」のアウトリーチ機能として、家庭訪問やICTを活用した伴走型支援のモデル事業も始まっています。川崎市公式サイト
今後も取り組みます
学校の教室だけが、子どもたちの学びの場ではありません。
ICTを活用すれば、自宅や別室、ゆうゆう広場など、子どもが安心できる場所から学校や社会とつながり、その子の理解度やペースに合わせて学ぶことができます。
2020年にGIGAスクール構想を不登校児童生徒の学習支援に活用することを提案して以降、オンライン学習システムの対象拡大など、川崎市でもICTを活用した支援が進められてきました。
今後も、「学校に行けないから、学べない」とならないよう、一人ひとりの状況に応じた多様な学びの機会を確保する取組を進めていきます。
関連情報:
川崎市公式サイト|不登校児童生徒支援(多様な学び支援)について