新しい技術やサービスを生み出すスタートアップは、新たな産業や雇用を創出し、地域経済を成長させる重要な存在です。
川崎市には、Kawasaki-NEDO Innovation Center(K-NIC)や、かわさき新産業創造センター(KBIC)など、研究開発型スタートアップや起業家を支援する拠点があります。
私は2023年3月6日の予算審査特別委員会で、**川崎市におけるスタートアップ支援の成果と今後の取組、さらに量子技術を新たな産業につなげる「量子イノベーションパーク」**について質問しました。
スタートアップを川崎の新しい産業へ
当時、国ではスタートアップへの投資を大幅に拡大し、官民を挙げてスタートアップを育成していく政策が進められていました。
川崎市でも、K-NICにおいて研究開発による事業化を目指す起業家やスタートアップを対象に、伴走支援や資金・人材の獲得に向けた相談などを実施していました。
市の答弁によると、K-NICでは2018年度の開設から質問時点までに約1,500件の相談に対応。
支援を受けた企業のうち3社がKBICへの入居につながっていました。
また、KBICには当時約50社が入居し、過去5年間で事業拡大を理由に退去した8社について、市内への立地につなげたとのことでした。
市からは、今後もK-NICでの資金調達やビジネスモデル構築の支援を強化するとともに、KBIC入居企業の市内移転や株式上場などにつなげ、次世代の産業を担う企業を創出していくとの考えが示されました。
新川崎を「量子」のイノベーション拠点へ
もう一つ取り上げたのが、量子イノベーションパークです。
2021年7月、新川崎・創造のもりにアジア初のゲート型商用量子コンピューターが設置されました。
これを契機として、大学や企業などとの産学官連携を進め、量子技術の研究成果を新たなビジネスやスタートアップの創出、社会実装につなげていく構想について質問しました。
市からは、新川崎地区に集積する人材や情報、産学官のネットワークを生かして、
研究成果からスタートアップや新たな事業の創出につなげていく
との答弁がありました。
また、量子技術の産業化を将来担う人材を育成するため、市内高校生を対象に、量子コンピューターを使ったプログラミング体験などを行う人材育成にも取り組んでいるとの説明がありました。
「研究」で終わらせず、社会実装・産業化へ
量子コンピューターのような最先端技術で重要なのは、研究拠点を整備するだけではありません。
研究成果からスタートアップが生まれ、企業が成長し、社会で技術が実際に使われることで、新たな産業や雇用につなげていくことが重要です。
現在、川崎市は量子イノベーションパークについて、新川崎・創造のもりを中核として、量子・AI分野の人材育成、研究開発、社会実装を一体的に進める取組へ発展させています。川崎市公式サイト
さらに、新川崎だけで完結させるのではなく、市内ものづくり企業の技術を生かした量子サプライチェーンの構築や、臨海部における創薬・脱炭素などの研究開発、市内の地域課題を解決するための実証など、市内全域への波及を目指しています。川崎市公式サイト
2026年、量子技術の「実証」が具体化
現在は、構想からさらに一歩進んでいます。
川崎市では、市内を実証フィールドとして提供し、量子コンピューティング技術によって地域課題や行政課題の解決に挑戦する**「量子実証 川崎モデル創出事業」**を実施しています。
2026年度には6者から応募があり、2者の事業を採択。採択事業には、実証費用として1件当たり上限325万円を支援するほか、行政課題に関する現場の情報やデータの共有、専門家による助言などを行っています。川崎市公式サイト
つまり、2023年当時に議会で確認した、
「量子技術の研究成果からスタートアップや新たな事業を創出する」
という構想が、現在では人材育成、企業集積、実証、社会実装へと具体化してきています。
量子スタートアップの集積を具体的な目標に
川崎市総合計画2026では、さらに踏み込んだ成果指標が設定されています。
市内に立地する量子スタートアップは2024年度時点で2社。これを、
2028年度:4社以上
2029年度:5社以上
2030年度:6社以上
へ増やす目標です。川崎市公式サイト
また、新川崎・創造のもりについては、量子技術などの「知」と「人材」が集積する研究開発拠点として機能更新を進め、2029年度の供用開始を目指しています。川崎市公式サイト
最先端技術を川崎の経済成長につなげる
川崎には、研究開発拠点や大学、企業、高度な技術を持つものづくり企業など、多くの産業資源があります。
大切なのは、それぞれの研究や技術を研究段階だけにとどめず、
「研究開発 → 起業・スタートアップ → 社会実装 → 企業の成長 → 市内への定着」
という流れにつなげていくことです。
2023年の議会では、スタートアップ支援の成果とともに、量子イノベーションパークから新たな企業や事業を生み出していく取組について確認しました。
今後も、川崎が持つ最先端の研究開発力を、新産業の創出や雇用、地域経済の活性化につなげていく視点から、取組を進めていきます。