がんは、早期に発見し、適切な治療につなげることが重要です。
そのためには、がん検診を実施するだけではなく、「対象となる方に実際に受診していただく」ための取組を充実させる必要があります。
私は2022年9月26日の決算審査特別委員会で、川崎市のがん検診の受診率について確認するとともに、従来の周知や受診勧奨だけではなく、WEB予約の導入や民間のノウハウを活用した新たな受診勧奨について提案しました。
コロナ禍で伸び悩んだがん検診の受診率
まず、川崎市が実施するがん検診について、直近3年間の受診率を確認しました。
市から示された受診率は、次のとおりです。

| がん検診 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 |
|---|---|---|---|
| 肺がん | 22.4% | 21.4% | 20.7% |
| 大腸がん | 19.6% | 18.5% | 17.8% |
| 胃がん | 17.6% | 14.8% | 13.7% |
| 子宮頸がん | 24.1% | 25.4% | 26.7% |
| 乳がん | 19.5% | 19.2% | 18.4% |
子宮頸がん検診では上昇していたものの、肺がん、大腸がん、胃がん、乳がん検診では低下していました。
市は、新型コロナウイルス感染症の影響による医療機関への受診控えなどが、受診率が伸び悩んだ要因の一つとの認識を示しました。
「案内を送る」だけで終わらせない受診勧奨を
川崎市では、受診率を向上させるため、対象者への個別勧奨を行うとともに、未受診者に改めて受診を促す**「コール・リコール」**などに取り組んでいました。
しかし、受診率の推移を見ると、これまでと同じ方法を続けるだけで十分なのか、検証する必要があります。
そこで私は、
既存の周知方法や広報物の見直しに加え、WEB予約の導入など、受診しやすい環境を整備すべき
と提案しました。
がん検診の重要性を知っていても、「予約方法が分からない」「電話する時間がない」「後で予約しようと思って忘れてしまった」といった理由で、実際の受診につながらないことも考えられます。
受診率を高めるには、周知だけではなく、「知る」から「予約する」「受診する」までのハードルを下げる視点も重要です。
成果に着目した新しい手法も提案
さらに議会では、広島県で行われていた**ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)**を活用したがん検診の受診勧奨を紹介しました。
これは、民間事業者などのノウハウを活用して事業を行い、その成果に応じた支払いを行う仕組みです。
広島県では、大腸がん検診の受診勧奨にこうした手法を取り入れ、受診率の改善につながった事例がありました。
私はこの事例を踏まえ、
「これまでを踏襲しても受診率が向上するとは考えにくく、新たな手法を取り入れていく必要がある」
と市の見解を求めました。
市も「無関心層へのアプローチ」を課題として認識
これに対して市からは、これまでの取組に加えて、
「無関心層への働きかけや動機づけにつながるアプローチ手法の工夫」
が必要との認識が示されました。
また、医師会をはじめとする関係団体や協定企業などと連携するとともに、他都市の先駆的な取組を参考に、より効果的な受診勧奨の方法を検討していくとの答弁がありました。
ここは重要なポイントだと考えています。
行政から情報を発信して終わるのではなく、これまで検診を受けていない方や、がん検診への関心が低い方に対して、どうすれば実際の受診行動につなげられるのかという視点が必要です。
「受診してください」から「受診しやすい仕組み」へ
がん検診の受診率を高めるためには、検診の重要性を伝えることはもちろんですが、それだけでは十分ではありません。
個別勧奨や再勧奨、分かりやすい広報、WEB予約などによる利便性の向上、民間のノウハウの活用など、さまざまな方法を組み合わせることが必要です。
そして、それぞれの取組について、
「実際に何人の受診につながったのか」
という成果を検証し、より効果の高い方法へ改善していくことも重要です。
がんの早期発見・早期治療につなげ、一人でも多くの市民の健康と命を守るため、今後もがん検診を受診しやすい環境づくりと、より効果的な受診勧奨を進めていく必要があります。