子どもを望む方が、経済的な理由によって不妊検査や不妊治療をためらうことのない環境を整えていくことは重要です。
2022年4月から不妊治療への保険適用が拡大され、多くの治療が原則3割負担となりました。
一方で、保険適用外となる治療や先進医療には費用負担が残っています。
私は2024年6月21日の川崎市議会第2回定例会で、不妊治療における先進医療への助成制度の創設や、さらなる負担軽減に向けた国への働きかけについて質問しました。
保険適用で負担軽減、一方で残る自己負担
不妊治療への保険適用によって、それまで高額になりがちだった治療費の負担軽減が図られました。
議会では、厚生労働省による2022年度のレセプト分析で、保険診療による不妊治療を受けた方が37万人を超えていることにも触れました。
また、経済的負担の軽減などによって、若い世代が受診しやすくなったことや、人工授精から生殖補助医療へのステップアップのハードルが一定程度下がったことなど、保険適用による効果についても取り上げました。
一方、市も、
「保険対象外の一部の治療については治療費が高額である」
との認識を示しています。
子どもを望む方が、より早く治療にアクセスできる環境を
不妊治療では、年齢も重要な要素となります。
そのため、子どもを望む方が必要な検査や治療に、できるだけ早い段階でアクセスできる環境づくりが重要です。
私は、東京都、大阪市、札幌市、静岡市、平塚市、大和市などで、保険診療と併用して行われる先進医療の費用の一部を助成する取組が行われていることを紹介しました。
そして川崎市でも、
「不妊治療における先進医療に係る費用への助成を実施すべき」
と提案しました。
かつての不妊治療助成に充てていた財源にも着目
保険適用が拡大される以前、川崎市では特定不妊治療への助成を行っていました。
その決算額は、
2020年度:約1億9,000万円
2021年度:約4億9,000万円
2022年度:約2億4,000万円
でした。
そこで私は、保険適用の拡大によって従来の助成制度に使われていた財源にも着目し、その財源を新たな負担軽減策に活用できないかと提案しました。
市からは、先進医療を取り扱う医療機関が増えていることなどから、引き続き国の動向を注視するとともに、川崎市不妊・不育専門相談センターにおける相談支援などを実施していくとの答弁がありました。
保険適用されても負担が増えた人も
さらに私は、不妊治療における保険診療と保険外診療の問題についても取り上げました。
議会では、不妊に悩む当事者を支援するNPO法人Fineが約2,000人を対象に実施したアンケートを紹介しました。
保険適用前後の費用について、
「減った」43%
「増えた」31%
という結果でした。
保険適用によって負担が軽減された方がいる一方で、治療内容によっては負担が増えた方もいることになります。
私は、患者のニーズに応じた治療の選択肢を広げ、さらなる負担軽減につなげるため、必要な治療方法の先進医療への認定などについて、国へ働きかけるべきと求めました。
これに対して市からは、
「国への働きかけについて対応を検討していく」
との答弁がありました。
治療費だけではない、不妊治療の負担
不妊治療を受ける方が抱える負担は、経済的なものだけではありません。
議会では、国立成育医療研究センターの研究にも触れ、高度不妊治療を受ける女性が感じるストレス要因として、
「終わりの見えない治療」「アイデンティティの揺らぎ」「独りで抱え込む苦しみ」「高額な治療費」
の4つが挙げられていることを紹介しました。
保険適用の拡大は大きな前進ですが、先進医療にかかる費用など、経済的な負担がすべて解消されたわけではありません。
子どもを望む方の選択を支えられる制度へ
不妊治療は、一人ひとり治療内容や置かれている状況が異なります。
だからこそ、治療の選択肢を狭めることなく、子どもを望む方が必要な治療を受けやすい環境を整えていくことが重要です。
私は今回の議会質問で、
先進医療に係る費用への助成制度の創設
国へのさらなる制度改善の働きかけ
不妊・不育に関する相談支援の充実
を通じて、治療を受ける方の経済的・心理的な負担を少しでも軽減するよう求めました。
今後も、子どもを望みながら不妊に悩む方々が、経済的な理由によって治療の選択肢を諦めることのないよう、支援の充実を求めていきます。